楊伯江:日本の参議院選挙と中日関係
作者:杨伯江 来源:《日本经济新闻》2025年7月4日 时间:2025-07-04

参院選で自民·公明両党の苦戦は避けられない。ポイントは与党がどれだけ議席を失うかだ。その程度によって石破茂政権の存続と連立政権の枠組みが左右される。
石破首相は自民出身の歴代の首相に比べて中国や東南アジア諸国との関係を重視している。歴史問題を巡って、日本がなぜ戦争を始めたか、なぜ阻止できなかったのかを検証する意向を示した。これは中日関係に有益だ。
個人的に石破氏と3回会ったことがある。彼は学者のようで、特に安全保障に詳しい。一方で庶民感覚があり、国民が親しみやすい人物という印象を受けた。
日本はトランプ関税や中米競争という大きな圧力と複雑な状況に直面する。いま求められるのは現実的で実務に優れたリーダーであり、政治の安定と政策の連続性の観点から石破政権の継続が最良の選択肢だろう。
石破氏に代わって右派の首相が就くことは日本にとっても隣国にとっても悪夢だ。仮にそうした人物が首相となり、個人の信念に固執して靖国神社を参拝すれば中日間の対話が止まってしまう。
もっとも、与党が有権者の期待に応えられているとは言いがたい。6月の東京都議選では多くの票が自民から保守系の新興政党に流れた。コメなど物価高への対策が十分ではないことの表れだ。
日本の社会構造の変化も背景にある。都市への人口流出によって農村部の過疎化が進み、終身雇用や年功序列といった日本型雇用システムも弱まった。特定の支持政党をもたない無党派層が新党に希望を託すのは自然な流れといえる。
一方、参院選で野党が大勝し政権交代を果たすのも難しいだろう。立憲民主党や日本維新の会の政策は自民党と大差がなく、有権者は対立軸をみつけにくい。旧民主党政権で政治が混乱したことも有権者の記憶に新しいはずだ。
参院選の結果にかかわらず、日本は中国にとって重要な隣国だ。習近平(シー·ジンピン)指導部は4月の中央周辺工作会議で「隣国重視」の方針を確認した。
日本が議長国として中日韓首脳会談を早期に開催することを期待する。中日韓はトランプ米政権の関税政策に苦しむ。経済を中心とした協力拡大が共通の利益になる。
(来源:《日本经济新闻》2025年7月4日;作者:杨伯江,中国社会科学院日本研究所所长。)